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劇団イキウメ「太陽」の考察ブログ

劇団イキウメの公演「太陽」について考察するブログです。

劇団イキウメ「太陽」を観劇してきました

感想

先日、劇団イキウメの「太陽」を観てきました。

場所は三軒茶屋のシアタートラム。ひさびさの遠出でした。

シアタートラムで撮った「太陽」のポスター

 

本作品「太陽」で、劇団イキウメの脚本・演出である前川知大さんは、

第19回読売演劇大賞・演出家賞(2011年)と

第63回読売文学賞 戯曲・シナリオ賞(2012年)を受けました。

 

今回は、2011年の初演以来のイキウメ劇団員のみでの公演です。

脚本・演出の前川知大さんが所属している劇団なので、

より混じりけのない見せ方がされるのではないか?!と期待しての観劇。

正直いって、期待以上でした。2016年ベストが決まったかも…?

 

あらすじ

世界的なバイオテロにより人口は激減。

ウイルスによって、それまで営まれてきた人類の社会は破壊された。

 

それから数年、ウイルスに適応した感染者が現れ始める。彼らには共通点があった。

これまでの人類よりも高い思考能力・身体能力と頑丈な肉体を持ち、

驚異的な治癒能力を持っていたが、太陽に当たることができない欠点があった。

彼らは自らを「ノクス」と呼び、独自の社会を構築し始める。

 

こうして人類は2種類に分断された。

新人類だとされる「ノクス」とそれ以外の人々。

ノクスになる方法も解明され、徐々にその数を増えつつある。

人類の中にはノクスに憧れて、自ら「ノクス」になりたがる者も出始めた。

 

ある日、長野八区で1人の人間が1人のノクスを死亡させる事件が起こる――

 

ネタばれなしの感想

今まで劇団イキウメをチェックしてこなかったのを心から後悔しました。

 

めちゃくちゃ面白いです!

が、面白さを言葉にするのに時間がかかりそうな作品です。

政治経済の中心が、すでにノクスに移ってしまっている状況下で、

人類は「キュリオ」と呼ばれています。これは「骨董品」という意味の差別用語です。

 

作中では、ノクスからキュリオへの。キュリオからノクスへの。

この2つの差別と偏見の構図が繰り返し描かれます。

差別・偏見の状況と、そのさなかにいる人々のやりばのない感情。

それらがセリフだけではなく、動作や視線・仕草によって表現されるのが舞台です。

 

実際のところ、観客は「人類」側の視点で舞台を見ることになるので、

差別の構図が舞台にあらわれるたびに、自分たちの現実に照らし合わせて

「これは自分たちとあの国の関係のメタファーだろうか?」

「今のセリフは、自分たちがあの人に持っている偏見と似ているかも」

と思い出すことになります。

(裏返せば、それだけ自分らの周囲に差別・偏見の構図があるのだと言えます)

 

また「ノクス」を演じるイキウメ劇団員さんたちの立ち振る舞いが絶妙で!

舞台が進むごとに、身体的な外観はまったく人類と同じにしてあるのにどこか違う、

人間という種類ではない生き物のように見えてくるんです。たまりませんでした。

 

人類と同じ姿に見えるのに異なるモノである、ということを表現するのに

一番簡単なのは、身体的特徴を追加する(あるいは欠けさせる)ことです。

たとえば<ドラキュラ>だったら牙を追加する、という表現。

たとえば<さとりの化け物>だったら目を1つ減らす、という表現という具合に。

 

劇団イキウメの舞台「太陽」において、ノクスの身体的特徴は人類と変わりません。

異なるのは服装だけ。だというのに、あそこまで強烈な違和を感じさせるのは

驚異的なことだと思いました。演出によるものと、劇団員の実力によるものでしょう。

 

「設定自体は厨二だというのに、劇団の見せ方がうまいためにチープになっていない」

という感想を見かけましたが、本当にその通りだと思います。

 

長くなってしまったので「ネタばれありの感想」はまた後日!

ちなみに東京公演は29日まで、当日券は毎公演用意しているとのこと。

 

劇団イキウメ「太陽」、本当にオススメなので、

この機会に当日券をゲットしてぜひ観てもらいたいです。

当日券情報は、下のTwitterアカウントからチェックできます!

 

twitter.com

 

最後に、劇団イキウメについて補足情報を。

 

劇団員情報

浜田信也さん:

森繁役。ノクス側の人物で、門番役を演じています。 映画では古川雄輝さんが演じていました。過去の公演情報を見返してみると、かなり中心的な役柄を演じていることが多い劇団員さんのようでした。今回もキーマンとなるポジションでした!

安井順平さん:

金田役。ノクス側の人物で、医師役を演じています。 映画では高橋和也さんが演じていました。こちらも、過去の公演情報を見てみると「地下室の手記」で二人芝居を演じるなど、中心ポジションにいる劇団員さんのようです。

伊勢佳世さん:

玲子役。ノクス側の人物で、征治さんの妻役を演じています。 映画では森口瑤子さんが演じていました。女性としてはやや高身長なところに高いヒールをはいていたので、威圧感がありました(それも演出の内?)

盛 隆二さん:

征治役。ノクス側の人物で、征治さんの妻役を演じています。 映画では鶴見辰吾さんが演じていました。今回の作品に登場している劇団員の中では一番体格がいい方だったので、物理的な説得力がありました(これも演出かも?)

岩本幸子さん:

奥寺純子役。人間側の人物で、村に残った加害者の姉役を演じています。 映画では中村優子さんが演じていました。背が低いのに加えて、作品中ずっと背中を丸めたような姿勢でいたので、凛と背を伸ばしたノクスとの対比が鮮やかでした。

森下 創さん:

奥寺克哉役。人間側の人物で、村から逃げた弟役を演じています。 映画では村上淳さんが演じていました。この劇団員さんも背が低いのに加えて、作品中ずっと背中を丸めたような姿勢でいました。公式の宣伝写真とは似ても似つかない汚れ具合でしたよ!

大窪人衛さん:

奥寺鉄彦役。人間側の人物で、村に閉じ込められた若い男の子を演じています。 映画では神木隆之介さんが演じていました。高校生ぐらいの年かな?と思ったら、20代後半で驚きました。すごかったです!思春期の青くささがものすごかったです!「おおくぼひとえ」と訓むみたいですね。

清水葉月さん:

生田結役。人間側の人物で、村に閉じ込められた若い女の子を演じています。 映画では門脇麦さんが演じていました。清水さんは客演なんですね。どことなく黒木華さんを思い出させる独特の雰囲気です。人間のときもノクスのときも、透明感があって素敵でした。

中村まことさん:

生田草一役。人間側の人物で、村に閉じ込められた父親を演じています。 映画では古館寛治さんが演じていました。中村さんは劇団「猫のホテル」からの客演なんですね。確かにいい意味での浮き上がってくる存在感がありました。